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授業力アップ 学級経営

小学校教員の授業力アップや学級経営について紹介します

社会 5年生 環境を守る②

🔴社会 5年生 環境を守る②

 

 

🔶教科書(日本文教出版)では、四大公害の中の「四日市ぜんそく」が中心に取り上げられています。

 

 

🔶大気汚染の背景→被害の実態→反対運動の高まり→裁判→国や県、市、会社、工場の責任が問われる→対策が行われる→環境を守る都市へという学習の展開になっています。

 

 

🔶50年前の四日市市のコンビナートの写真を見て、「昔は煙で街が見えない、なぜ昔は空が汚れているのだろう?」という記述がされています。

 

 

🔶そして、「戦後、国が工業をさかんにしようと取り組んだこともあって、全国に工場が建設されるようになりました」という歴史的な背景が記述されています。

 

 

🔶続いて「四日市市にも石油化学コンビナートの生産が始まりました。すると、予想もしなかったことがおこりました」という記述になっています。

 

 

🔶この文章をどう読み解くのかを教師なら考えねばなりません。

 

 

 

🔶そして、大気汚染のためにぜんそくで苦しんでいる人や死者も出ている記述や病院で酸素を吸入している患者の写真が掲載されています。

 

 

🔶また、子どもの作文の一部が資料として載っています。

 

 

🔶3年生の子どもは「ぼくたちは公害のひどい日の行き帰りには、マスクをしたり、うがいをしたり、かんぷまさつをして公害に負けない体を作ろうといっしょうけんめいです。でも公害の方がずっと強いです」と書いています。

 

 

🔶当時の実態が浮かび上がっています。公害の元凶ではない子どもたちが一生懸命になっていた事実が分かります。

 

 

🔶中学2年生の作文には、「発作が起こると一晩中うなりづめ、苦しいと自分に言い聞かせることで耐えている。10時間も15時間も座ったままで動けず、何度も足を組みかえる。咳き込むとふつふつと汗がにじみ出る」という子どもたちの叫びが描かれています。

 

 

🔶初めは、工場や国・県が公害被害の責任を認めていなかったことは、記述されていません。

 

 

🔶「予想もしなかったことがおこりました」という記述をどう考えるかです。

 

 

🔶東日本大震災が起きる以前の教科書には、原子力発電の必要性や安全性が掲載されていました。

 

 

🔶そして、「想定していなかった」という福島原発の事故が起き、今もたくさんの方が故郷に帰ることが出来ません。

 

 

🔶次の「立ち上がる人々」の所では、「公害に苦しむ人々が公害反対の運動を起こし、それを受けて国や県、市は大気汚染の調査や公害患者の医療費の無償化を、石油化学コンビナートの工場は煙突を高くするなど、できることから取り組みを始めました。しかし、四日市市の大気汚染はなかなか改善しませんでした」という記述です。

 

 

🔶被害に苦しむ人々の訴えと運動の以前には、被害が出ていても対策がされていなかった事を読み取らなければなりません。

 

 

🔶また、「できることから」という文言は、言葉の言い換えであり、抜本的な対策は取られなかったという意味が隠されています。

 

 

🔶裁判の判決で国や県、工場の責任が認められて、ようやく対策が進められたという事実を見極めないとならないのです。

 

 

🔶教科書は国の検定があり、産業界や経済界からの意見が強く反映され、政府の意向にも左右されています。執筆者も文科省からの修正の意見を受けつつ、どう表現するのかを考えながら書いているのです。

 

 

🔶教師は個人的な意見で教えてはなりません。しかし、たくさんの事実を頭に入れ、記述の中にある事柄から、その中にある真実を読み取らねばなりません。

 

 

🔵そのうえで、教師の考えを示すのではなく、子どもたちに事実から考えさせるのです。

 

 

🔶記述の仕方によって、事実の伝わり方が変わってくる事を教師自身は知っておく必要があります。

 

 

🔶他の教科書会社のものがどんな記述や何を資料としているのかを比較する事も大切です。