道徳の教科化①
🔴道徳の教科化①
◯来年度から道徳の教科化が移行措置として始まることになっています。
◯これまで「道徳の時間」として行ってきたものが「特別の教科 道徳」となります。
◯これまでも道徳の本はありましたが、「教科書」となり、細かく指導の在り方が示されるようになりました。
◯内容は、文科省が教科化に向けて配布してきた読本「わたしたちの道徳」の教材とかなり共通しています。
◯以前の勤務校が文科省の道徳研究指定校となった時、道徳読本の教材全てに目を通したことがあります。
◯内容があまりにも浅くかったり、観念的だったりする教材が多く、授業で使いたいと思えるものは少ししかありませんでした。
◯実話に基づく教材はまだしも、架空の話の教材が中心でどれだけ子どもの心を育てられるのか、疑問に感じました。
◯実話をもとにした自主教材を作成したり、各社の教材を組み合わせたりして、年間計画を立てました。
◯今回の教科書の内容もほぼ変化はしていません。こんな中身では、教師主導の価値観の押し付けになってしまわないか、懸念しています。
◯また昨年、報道もされましたが、教材の中にあった「パン屋さん」が文科省の検定意見がつき、「和菓子屋さん」に変更されました。
◯「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度を学ぶという学習指導要領に照らし、扱いが不適切である」「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つことの意義を考えさせる内容になっていない」という理由でした。
◯全国のパン屋さんから抗議があったのは言うまでもありません。
◯愛国心とはこんな薄っぺらなものなのでしょうか。
◯こんな浅薄な意見が通るような教科書で、「道徳」が養われるとは到底思えません。
◯教科化の背景には、いじめ自殺問題などがあります。
◯「道徳」が、戦前の「修身」のような「国の為に命をかける」といった事にはならないとは思いますが、「教育勅語」を幼稚園児が唱和していたあの学園を国民の代表である総理大臣が応援していた事に危惧を感じている方は多いと思います。
◯道徳には、「思いやり」「正義」「公共心」などの「価値項目」が高学年では22項目あり、年間35時間の中で一回は、各項目をすることになっています。
◯この価値項目自体も個人的には、それでいいのかとも思います。
◯「教科書」の内容だけに留まらず、目の前の子どもたちの課題だと思うことを道徳の授業で考えることが大切ではないでしょうか。
◯友達を見下す態度や自分勝手な行動をとる場面があるのなら、そのことをみんなで考える方がよほど子どもたちの心を耕すことになると思います。
◯ちなみに道徳の学習指導要領には、「児童の発達の段階や特性、地域の実情などに考慮し、多様な教材に努めること」「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導することは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」と記述されています。
◯また、中教審答申にも「地域や学校の実態を踏まえて、教育委員会・学校や民間の作成する多様で魅力的な教材があわせて活用されることが重要である」と述べられています。
◯教科書だけで、道徳を進めるのではないことを念頭におくことが重要だと思います。
◯私たちの社会にある様々な人権の問題について考えることが大切だと思っています。
◯「道徳」については、一回の記事では書ききれないので何回かに分けて伝えていきたいと思います。
(つづく)