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授業力アップ 学級経営

小学校教員の授業力アップや学級経営について紹介します

ランドセルの色

🔴ランドセルの色

 

 

◯10年くらい前までは、男の子は黒いランドセル、女の子は赤いランドセルというのが一般的でした。

 

 

◯また、名前シールなどの他のものも男の子は青色、女の子は赤色など、学校でも色で分けていたこともよくありました。

 

 

◯その頃、新聞にも掲載されたある出来事があります。

 

 

◯転校してきた女の子が黒いランドセルを背負って登校してきます。なぜ女の子が黒いランドセルなのだったか、なぜ転校してきたのか、そこには深い事情がありました。

 

 

◯前の学校で、女の子は黒いランドセルを背負って入学しました。

 

 

◯すると、教室では「男みたい」と言われ、登下校では他の学年の子から「女は赤のランドセルやろ〜お前は男の子か?」と中傷される日々が続きました。

 

 

◯保護者も学校に相談をし、担任は、1年生の子どもたちに説明をします。しかし、なかなか届きません、

 

 

◯他の先生にも相談し、もらったアドバイスを教室へ持ち帰って、話をしますが、問題は解決しませんでした。

 

 

◯女の子はとうとう学校へ行けなくなってしまいました。

 

 

◯保護者は悩んだ結果、学校を変わるしか道がないということで、転校をさせました。

 

 

◯なぜ、黒いランドセルを背負っていたのか。

 

 

◯その子には3つ上のお兄ちゃんがいました。小学校に入学しますが、ランドセルを背負って学校へ行けたのは、一日だけでした。

 

 

◯小児ガンにおかされていたお兄ちゃんは、2回目のランドセルを背負うことなく、天国に召されてしまいました。

 

 

◯女の子が大きくなって入学の年を迎えます。「新しいランドセルを買おうね」と周りが勧めます。

 

 

◯でも、女の子は「お兄ちゃんのこの黒いランドセル背負って、私、学校へ行く。」

 

 

◯「大好きなお兄ちゃんと一緒に学校に行く」と女の子は強く望みました。

 

 

◯家族も「それならば」ということで、見守ったわけです。しかしながら、お兄ちゃんを思う女の子の願いは、残念ながらつぶされてしまったわけです。

 

 

◯転校先の学校でも、最初は、子どもたちから同じような声が上がりました。

 

 

◯担任が保護者にたずねます。「きっとわけがあるんだと思います。よかったら黒いランドセルのわけを教えて下さい」

 

 

◯家の人は、お兄ちゃんのアルバムを広げながら、経緯を語ります。担任は、会議で全職員にその内容の全てを伝えました。

 

 

◯すると「これは、人権に関わる貴重な学習になるではないか。学校全体をあげて、このことにつながる取り組みをしよう」ということになりました。

 

 

◯保護者も胸をなで下ろし、その女の子は、胸をはってお兄ちゃんの黒いランドセルを背負って、学校へ行けるということが続いています。(参考・毎日新聞2002年6月28日)

 

 

◯この新聞記事を教材にして、授業をしたことがあります。

 

 

◯今は、カラフルで色とりどりのモノが販売され、女の子も男の子も好きな色のランドセルを使っています。

 

 

◯入学前に祖父母からプレゼントで買ってもらう家庭が多いようですが、どうか「女の子なんだから」と周りが決めるのではなく、子ども自身に選ばせてあげてほしいと思います。

 

 

◯黒いランドセルも女の子に人気です。

 

 

◯でも、「男の子だから」「女の子だから」という縛り方をしているようなことが学校でないでしょうか?

 

 

◯いつも男女別に並んだり、男の子から先にするということはないでしょうか?

 

 

◯男だから、女だから、こう生きねばならないという性別で決めつけるような景色になっていないかを考えるべきです。

 

 

◯また、LGBTなどの子どもにとっては、ランドセルの色だけでなく、様々な学校生活の中で苦しい思いをしていないかを考えなければなりません。

 

 

◯「性の多様性」の認識が進んできた現在、どう一人ひとりの個を大切にすることができるのかを考えていきましょう。

 

 

◯性の多様性については、また次回述べていきたいと思います。