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授業力アップ 学級経営

小学校教員の授業力アップや学級経営について紹介します

共に育つ1障がいのあること

 

共に育つ1 障がいのあること

 

 

◯障がいのある子どもたちへの教育が、「障害児教育」「特殊教育」という名称から「特別支援教育」という名称になってずいぶん経過しました。

 

 

◯昔は、地元の小学校に近所の子どもとといっしょに通わせたいという障がいのあるお子さんを持つ保護者の願いが叶えられなかったケースも多くありました。

 

 

◯国が分離教育を推進していたために、地元の小学校ではなく、養護学校の方が人員も多く手厚い対応が出来ると勧められていました。

 

 

◯どちらがいいのかを当事者である子どもや保護者が選ぶのではなく、第三者の「就学指導委員会」が振り分けをしていた過去の歴史があります。

 

 

◯その頃、「健常児」の通ういわゆる「普通学校」ではなく、「障害児」は「養護学校」へ通わせるという考えが行政や教育機関の多数を占めていました。

 

 

◯現在では、「インクルーシブ(包括的)教育」という理念のもとに、障害の有無で、分離・排除するのではなく、すべての子どもたちが、共に学び、共に育つ教育をめざすこととなっています。 

 

 

◯今は、地元の学校の「特別支援学級」か、「特別支援学校」かを保護者が選択をして、お子さんを通わせておられます。

 

 

◯私がこれまでに勤務してきた学校のいくつかは、障がいのあるお子さんを進んで受け入れている学校でした。

 

 

◯共に学び、共に育てたいという思いで先輩の先生方が取り組んでこられていたからです。

 

 

◯在籍は「障害児学級」にあっても、授業や日常の学校生活の全てを「普通学級」で共に学ぶことを大事にしている学校でした。

 

 

◯保護者の方が、我が子を地域の学校で、近所の子どもたちと学ばせたい、大人になった時に近くに友達がいないと困る、小学校の間につながりを作らせたいという願いを大切にしてきた学校でした。

 

 

◯全国的には、大半を特別支援学級(障害児学級)で過ごし、一部の教科や給食などの時間を「普通学級」で過ごすという学校が、ほとんどだと思います。

 

 

◯その子だけ別の教室で個別に学習するのではなく、同じ教室でその子の成長に合わせた教材やカリキュラムを組んで、共に過ごすという学校は、まだ少ないと思います。

 

 

◯私もこれまで重度の自閉症のあるAくん、ダウン症のBさん、またアスペルガーADHDなど発達障がいのある子どもたちを「担任」してきました。

 

 

◯特にAくんと共に過ごした2年間からたくさんの大切なことを学びました。

 

 

◯学級担任として、「障害児学級(特別支援)担当の先生と組んで、二人でクラス全員に関わります。

 

 

◯担任と副担任というよりも、「相互担任」という意識です。

 

 

自閉症のAくんは言葉は話せませんが、幼稚園や一年生の時から共に育ってきたクラスの子どもたちは、Aくんが苦手な事や好きな事をよく分かっているので、Aくんがどんな気持ちでいるのかを自然に理解していて、いっしょに学び、いっしょに遊んでいました。

 

 

◯私が前で授業をして、Aくんの横にはもう一人の先生がついてという形がメインですが、時には授業を交替して、私がAくんの横について勉強することをしていました。

 

 

◯担任する前は、集団の中ではAくんは気持ちが安定できないのではと思っていました。別の教室でAくんだけの課題をした方が集中できて伸びるのではとも考えていました。

 

 

◯しかし、子どもたちとのつながりの中、みんなといっしょに、ゆっくりと着実に成長していったAくんとの2年間で考えは変わりました。

 

 

 ◯Aくんは別室で先生と二人きりより友だちといっしょにいる事の方が好きでした。先生が教えるよりも、友だちの行動を見て、Aくんが出来るようになった事もたくさんありました。

 

 

◯障がいの有無に関わらず、子どもは友だちとの関わりの中で成長していきます。

 

 

◯別室で1対1で先生と学習する方が力がつくと思っていましたが、決してそうではなかったのです。

 

 

◯もちろん、子どもによって、集団の中ではパニックになる時や落ち着かない事もあります。そんな場合は一時的にクールダウン出来る居場所に行っていいのです。

 

 

◯Aくんは幼稚園から共に過ごしてきた友だちがたくさんいたので、友だちと教室でいっしょに過ごし、友だちと関わりながら、自分に合った課題をして成長していきました。

 

 

◯Aくんにとっては、「普通学級」にいることが当たり前だったのです。周りの子からの働きかけもありましたが、Aくんも周りの様子を見て、行動していました。

 

 

◯先生と1対1でするよりも、周りの子らと共にすることで、Aくんはどうしたらいいのかを身につけていったのです。

 

 

◯特別支援学校の良い所ももちろんたくさんあります。人員も「普通学校」よりも多く、多様なカリキュラムが整っています。大切なのは、我が子の進路の選択肢が増え、自己決定が出来ることです。

 

 

◯ただ、インクルーシブ教育の理念で言えば、「分離教育」ではなく、「共に育つ包みこむ教育」が求められています。

 

 

◯現在は、地域によっても違いますが、重度の障害のある子を「特別支援学校」へ、軽度の子は「特別支援学級」でという流れになってきています。

 

 

◯しかし、「普通学校」の「特別支援学級」への人員加配は増員されていないために、上記のような「相互担任」の形をとる事が困難な状況にあります。

 

 

◯インクルーシブ教育を国が推進するようになりましたが、予算面などの対策はなされていません。

 

 

◯障がいのある子が地域の友だちと共に学び育つ教育への施策が求められています。