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授業力アップ 学級経営

小学校教員の授業力アップや学級経営について紹介します

性の多様性①

 

🔴性の多様性①

 

 

◯現在、「性」は「男」と「女」という単純に二分化するものではないことが、科学的にも社会的にも認知されてきています。

 

 

◯ある小学校に一人の「男の子」が入学してくることが分かりました。

 

 

◯Aくんは幼い頃からずっと長い髪をかわいいリボンで結び、服装もピンク色が好きで、スカートを好んで着ていました。

 

 

◯両親は悩みます。病院で診断を受けた結果、身体は男の子として生まれてきたけれど、心は女の子であるという「性同一性障害」ということが分かりました。

 

 

◯昔、「3年B組金八先生」で上戸彩さんが演じたことでご存知の方もおられるかと思います。

 

 

◯両親は悩んだ結果、Aくんにとって自分らしい生き方をしてほしいと願います。

 

 

◯幼稚園では、Aくんは自分らしさを認めてもらい、「女の子」として過ごしていました。

 

 

◯さて、幼稚園から経緯を聞いた小学校では、Aくんを迎えるにあたって会議を重ねます。

 

 

◯初めてのケースで戸惑っていた教職員たちでした。それまでは、男女別名簿で男子から先に行うという形が当たり前の学校だったからです。

 

 

◯まず、教職員が「性の多様性」について研修を積む所から始めました。知ることで認識が変化していきます。

 

 

◯今まで当たり前のように思ってきたことが、一人の児童の入学を機に教職員の意識が変わっていきます。

 

 

◯まずは、出席番号を男子から始めていた男女別名簿を男女混合名簿にしていきます。

 

 

◯名簿が変わると、男子・女子と区別する必要のないものまで、今まで分けていたことに気づいていきます。

 

 

◯それまで何の疑問もなく、何でも男子から始めていたことのおかしさに気づいていきます。

 

 

◯また、それまで男子は「〜くん」で、女子は「〜ちゃん」「〜さん」と分けて呼んでいたのを、みんな「〜さん」と呼ぶようになります。

 

 

◯少しずつ学校の「景色」が変わっていきます。

 

 

◯男子と女子の仲も良くなっていきます。「男子だから」「女子のくせに」という固定観念が少しずつ変化していきます。

 

 

◯そんな受け入れの土台を作った上でAさんが入学してきます。

 

 

◯現在、Aさんは自分らしさを認めてもらう形で学校生活を過ごしています。

 

 

◯学年が上がるにつれて出てくる課題は、その都度、保護者とAさんの思いを聴きながら、解決策を考えて対応しているそうです。

 

 

◯「身体の性」「見た目の性」「心の性」「好きになる相手の性」は、グラデーションのように一人ひとり違っています。

 

 

◯最近の調査で、こうした「性的マイノリティー」は、7.6%いることが分かっています。13人に1人いることになります。どのクラスにも、どの学校にも何人かいることになります。

 

 

◯多くの子は、悩みを抱えながら隠しているのです。

 

 

◯中にはいじめにあい、不登校になったり、自殺を考えたりする子が多いのです。

 

 

◯Aさんのような子どもがありのままの自分でいられる学校を作っていかねばなりません。

 

 

夏休みの宿題②総合学習

🔴夏休みの宿題②総合学習

 

 

◯自由研究の代わりに、夏休みに総合学習の宿題を出しておくことで、2学期の調べ学習の時間を中身の濃いものにすることもできます。

 

 

◯6年生なら、平和を総合学習のテーマにしていることが多いかと思います。1学期の間に個人のテーマを決めて、夏休み中に調べておくようにすることもできます。

 

 

◯5年生なら、国際理解をテーマに、外国の文化や歴史について調べておくこともできます。これも1学期中にどの国を調べるのかも決めておきます。

 

 

◯4年生なら、各都道府県の産業や特色について調べたり、バリアフリーなどの障がい者問題について調べたりしておくことができます。

 

 

◯3年生なら、街にあるお店や工場、農家に行ってインタビューをしてくるなどを夏休み中に課題にすると、お家の人の協力も得ることができます。

 

 

 

◯学期中では、どうしても個別の調べ学習に時間がかかるために、こうした長期休みの間に課題としておくことも一つの方法です。

 

 

◯保護者の方に総合学習の意図や目的、調べ学習の方法などを事前にプリントでお願いをしておくと、子どもが困った時に協力してもらいやすくなります。

 

 

 

 

 

夏休みの自由研究

🔴夏休みの自由研究

 

 

◯夏休みに自由研究の宿題を出している先生も多いかと思います。

 

 

◯自由研究は、調べる力やまとめる力をつけることがつくからです。

 

 

◯しかし、自由研究を何も指導せずに夏休みの宿題にすると、子どもたちは何をどうすればいいのか分からない状態になってしまいます。

 

 

◯1学期の間に指導が必要です。

 

 

◯いくつか自由研究の例を紹介して、イメージを持たせます。

 

 

◯どんなテーマがあるのか、自分はどんなテーマで自由研究をしたいのかを考えて決める所まで授業でしておくのです。

 

 

◯子どもが決めたテーマを見て、アドバイスもしておきます。

 

 

◯授業で、調べ方やまとめ方の例をプリントにして渡して、説明をして、考えさせておきます。

 

 

◯2学期に自由研究の発表会を開催することも事前に伝えておきます。

 

 

◯なかなか決まらない子もいます。好きなことや興味のあることを聞いて、個別に相談することが大切です。

 

 

◯夏休み中にテーマを変えたい子も出てくるので、もちろんそれもオッケーとしておきます。

 

 

◯ここまでしておかないと、子どもや保護者に自由研究の宿題が丸投げの状態になるからです。

 

 

◯2学期の発表会では、子どもたちによる投票で、最優秀大賞、優秀賞やユニーク賞を決めます。投票で選ばれなかった中から、特別賞を決めていました。

 

 

◯これまでトイレットペーパーやマンホールの蓋をテーマにした自由研究が大賞に選ばれていました。

 

 

◯この夏休み、苦労している子どもたちも多いかと思いますが、自分が疑問に思ったことを自由研究で追求することは、きっと自分の力になるはずです。

 

 

 

平和学習②幻の甲子園

🔴平和学習②幻の甲子園

 

 

夏の甲子園を見て、球児たちの熱いプレーに魅了されている人も多いかと思います。

 

 

◯今年は、特に第100回の記念大会で盛り上がっています。

 

 

◯1915年に第1回大会が開催されてから、2018年までの104年間に開催出来なかった年があります。

 

 

◯1918年の第4回大会は米騒動のために中止になっています。

 

 

◯そして1941年の第27回大会は、地方予選の途中で中止となっています。日中戦争が激化し、鉄道は軍事物資の輸送のために使うもので、大量の民間人の移動には使えない事が主な理由だったとのことでした。

 

 

◯この2回は、100回の中にカウントされています。

 

 

◯1943年、1944年、1945年は戦争のために開催されていません。

 

 

◯1942年に「幻の甲子園」と言われている大会が開かれていますが、記録としては入っていません。

 

 

◯この大会は、戦意高揚を目的として、軍主導で行われました。

 

 

◯当時、野球は敵国のスポーツとして見なされていたために軍部の圧力もあり、多くの野球部が廃部に追い込まれてしまい、参加校は16校でした。

 

 

◯スコアボードには「勝って兜の緒を締めよ 戦い抜こう大東亜戦」という軍事スローガンが掲げられていました。

 

 

◯ユニフォームのロゴは、漢字のみを使いローマ字は禁止されました。

 

 

◯試合開始のサイレンは鳴らされず、進軍ラッパが代用されていました。

 

 

◯また、出場校の「選手」は「選士」と呼ばれ、「打者は球をよけてはいけない。球に当たっても死球にならない」という特別ルールが採用されていました。

 

 

◯突撃精神に反する行為として、ボールを避けるな、銃弾でもない野球の球が当たったぐらいでなんだという事だったようです。

 

 

◯また、原則として選手交代は認められていませんでした。怪我をしても死力を尽くして戦えという事です。肩を痛めたても投手は投げ続けなければならませんでした。

 

 

 

◯さらに選手はエラーしたら、軍人から「戦場では失敗は許されん」と殴られたそうです。

 

 

◯出場した「選士」たちは、その後戦場に送られて、尊い命を失っています。

 

 

◯「幻の甲子園」は、テレビのドキュメントや書籍にもなっています。

 

 

◯平和だからこそ、純粋に野球を楽しめることを子どもたちに考えさせる教材となるはずです。

 

 

平和学習①教師が学ぶことから

🔴平和学習①教師が学ぶことから

 

 

終戦記念日の8月15日、新聞には戦争に関する記事が掲載されたり、テレビドラマが放映されたりしています。

 

 

◯教育現場には、戦争を体験した世代は一人もいません。しかし、平和の尊さや戦争の悲惨さについてしっかりと教えていく必要があります。

 

 

◯ある調査では、原爆投下の日や終戦の日がいつなのか知らない若者がたくさんいることが明らかになっています。

 

 

◯太平洋戦争で日本がどこの国と戦っていたのかさえ答えられない若者も多いそうです。

 

 

◯なぜ戦争の道を歩むことになってしまったのか、歴史で学んでいるはずなのにです。

 

 

◯若い先生の話を聞いていても、知識のなさに愕然とすることもあります。

 

 

◯特に6年生の担任は、社会科の授業で教えなければなりません。

 

 

◯この夏休みにぜひ過去の戦争の本や新聞記事や報道特集などを見て学んでほしいと思います。

 

 

◯「知ること」から始まります。

 

 

◯知識を数多く積み重ねていくことで理解は繋がっていくはずです。

 

 

◯お盆に高齢の親戚の方に会う機会がある人はぜひ戦争の話を聞いてみてください。

 

 

◯戦争を体験された方の話を風化しないように記憶にとどめ、子どもたちに語り継いでほしいと思います。

 

 

 

算数 図形 ペントミノ

🔴算数 図形 ペントミノ

 

 

🔶正方形を5枚組み合わせると何種類の図形ができるかをグループで考えさせます。必ず一辺が接するように並べます。

 

 

🔶全部で12種類の図形ができます。

 

 

🔶なので、5×12=60枚の正方形が必要になります。グループに60枚の正方形の紙を渡します。

 

 

🔶プリントに印刷して裁断機で切って渡してもいいし、子どもに切ってもらってもいいですね。

 

 

🔶小さな折紙や正方形の付箋でもできます。また、正方形のタイルやブロックでも出来ます。

 

 

🔶一つの図形ができたら、正方形をセロテープで張り合わせていきます。

 

 

🔶12種類の図形は見つけることができるはずです。他のグループが見つけた図形を見て作ってもいいごとにすればいいのです。大きめの正方形を用意して、発見した図形から黒板に貼っていってもいいと思います。

 

 

🔴全てのグループが12種類を作ったら、確認をします。ここからが難しくて面白くなります。

 

 

🔷12種類の図形を組み合わせて、大きな長方形を作るのです。

 

 

🔷ここで図形の枚数とそれぞれの形を考えさせるのです。

 

 

🔷長方形は縦×横で枚数は60枚なので、縦と横に何枚並べられるのかを考えるのです。

 

 

🔷1×60と2×30は図形の形から長方形にはできません。

 

 

🔷3×20と4×15と5×12と6×10の長方形が作れます。

 

3x20 は 2通り

 

4x15は 368通り

 

5x12 には 1010通り

 

6x10 には 2339通り

 


これだけ答えがあります。

 

 

 

🔶一人で考えるよりも、グループで考える方が知恵を寄せ合って楽しむことができます。

 

 

🔴3年生以上なら解くことができます。おとなでも難しい問題ですが、動かしながらパズルのように楽しむことができます。

 

 

🔷授業参観ですると、保護者もいっしょに楽しむことができますよ。

 

 

🔴ちなみに正方形5つはペントミノですが、複数の正方形をつなげたものをポリオミノといいます。ポリオというのは、多くのという意味です。

 

 

🔶正方形1つはモノミノ、2つはドミノ、3つはトロミノ、4つはテトロミノといいます。

 

 

🔶ドミノはゲームやドミノ倒しで知られていますね。テトロミノは、テトリスのゲームと同じです。

 

 

🔶正方形6つはヘキサミノ、7つはヘプトミノ、8つはオクトミノとなり、アレンジするといろんなパズルができるはずです。

 

 

🔴お子さんがおられる方もご家庭でいっしょにチャレンジしてみてください。

 

 

🔶サイコロのような立方体を組み合わせたパズルもありますので、手作りしてみても面白いかと思います。

 

 

🔶子どもの空間認知力もつきます。

 

ランドセルの色

🔴ランドセルの色

 

 

◯10年くらい前までは、男の子は黒いランドセル、女の子は赤いランドセルというのが一般的でした。

 

 

◯また、名前シールなどの他のものも男の子は青色、女の子は赤色など、学校でも色で分けていたこともよくありました。

 

 

◯その頃、新聞にも掲載されたある出来事があります。

 

 

◯転校してきた女の子が黒いランドセルを背負って登校してきます。なぜ女の子が黒いランドセルなのだったか、なぜ転校してきたのか、そこには深い事情がありました。

 

 

◯前の学校で、女の子は黒いランドセルを背負って入学しました。

 

 

◯すると、教室では「男みたい」と言われ、登下校では他の学年の子から「女は赤のランドセルやろ〜お前は男の子か?」と中傷される日々が続きました。

 

 

◯保護者も学校に相談をし、担任は、1年生の子どもたちに説明をします。しかし、なかなか届きません、

 

 

◯他の先生にも相談し、もらったアドバイスを教室へ持ち帰って、話をしますが、問題は解決しませんでした。

 

 

◯女の子はとうとう学校へ行けなくなってしまいました。

 

 

◯保護者は悩んだ結果、学校を変わるしか道がないということで、転校をさせました。

 

 

◯なぜ、黒いランドセルを背負っていたのか。

 

 

◯その子には3つ上のお兄ちゃんがいました。小学校に入学しますが、ランドセルを背負って学校へ行けたのは、一日だけでした。

 

 

◯小児ガンにおかされていたお兄ちゃんは、2回目のランドセルを背負うことなく、天国に召されてしまいました。

 

 

◯女の子が大きくなって入学の年を迎えます。「新しいランドセルを買おうね」と周りが勧めます。

 

 

◯でも、女の子は「お兄ちゃんのこの黒いランドセル背負って、私、学校へ行く。」

 

 

◯「大好きなお兄ちゃんと一緒に学校に行く」と女の子は強く望みました。

 

 

◯家族も「それならば」ということで、見守ったわけです。しかしながら、お兄ちゃんを思う女の子の願いは、残念ながらつぶされてしまったわけです。

 

 

◯転校先の学校でも、最初は、子どもたちから同じような声が上がりました。

 

 

◯担任が保護者にたずねます。「きっとわけがあるんだと思います。よかったら黒いランドセルのわけを教えて下さい」

 

 

◯家の人は、お兄ちゃんのアルバムを広げながら、経緯を語ります。担任は、会議で全職員にその内容の全てを伝えました。

 

 

◯すると「これは、人権に関わる貴重な学習になるではないか。学校全体をあげて、このことにつながる取り組みをしよう」ということになりました。

 

 

◯保護者も胸をなで下ろし、その女の子は、胸をはってお兄ちゃんの黒いランドセルを背負って、学校へ行けるということが続いています。(参考・毎日新聞2002年6月28日)

 

 

◯この新聞記事を教材にして、授業をしたことがあります。

 

 

◯今は、カラフルで色とりどりのモノが販売され、女の子も男の子も好きな色のランドセルを使っています。

 

 

◯入学前に祖父母からプレゼントで買ってもらう家庭が多いようですが、どうか「女の子なんだから」と周りが決めるのではなく、子ども自身に選ばせてあげてほしいと思います。

 

 

◯黒いランドセルも女の子に人気です。

 

 

◯でも、「男の子だから」「女の子だから」という縛り方をしているようなことが学校でないでしょうか?

 

 

◯いつも男女別に並んだり、男の子から先にするということはないでしょうか?

 

 

◯男だから、女だから、こう生きねばならないという性別で決めつけるような景色になっていないかを考えるべきです。

 

 

◯また、LGBTなどの子どもにとっては、ランドセルの色だけでなく、様々な学校生活の中で苦しい思いをしていないかを考えなければなりません。

 

 

◯「性の多様性」の認識が進んできた現在、どう一人ひとりの個を大切にすることができるのかを考えていきましょう。

 

 

◯性の多様性については、また次回述べていきたいと思います。