総合学習5 障害のある人との出会い
総合学習5 障害のある人との出会いを
4年生での取組です。
校区に障害者施設があり、毎年、4年生は、施設長から話を聞くという形で見学をしていました。
見学が始まったきっかけは、昔、子どもが利用者の方をからかい、笑う事があったからでした。
この形では、子どもたちには伝わらないという思いで、何とか交流出来ないかとお願いをしてきました。
スタッフの方や施設長は、
「障害のある利用者と子どもの交流は無理ではないか」と考えておられ、なかなか交流は出来ませんでした。
何度かお願いをした結果、その年、今までとは違う形で行ないました。
子どもたちは、事前に学習しているものの、たくさんの利用者の方が出迎えてくれた時、表情が強張っていました。
同じクラスには、重度の自閉症があるAくんがいましたが、子どもにとっては、Aくんとはずっといっしょに育ってきているので、障害をそんなに意識せずに過ごしてきました。
でも、50人ぐらいの障害のある利用者の方に出迎えてもらっても、緊張して身体が固まっています。
最初に広いホールでいっしょにジャンボサイコロを転がしてゲームをしました。
少し緊張がほぐれてきました。
次にカラオケ大会が始まりました。利用者の方がステージで楽しく歌われています。
その当時、流行っていたモーニング娘の曲でした。その時、2人の子が「私も歌いたい」と言ってステージに上がりました。
その子らがマイクを貸してもらって、歌いだしました。その瞬間、みんなの雰囲気が変わりました。
一気に緊張が解け、ノリノリで子どもたちが歌いだしました。ステージに我も我もと上がって利用者の方と踊りながら歌っています。
逆に利用者の方が固まっておられました。
その様子を見て、スタッフの方も私も顔を見合わせて、ニッコリとしました。
その後は、グループに分かれていっしょに作業をしました。
農業班、洗濯班、和紙班(牛乳パックを千切って和紙を作る)、陶芸班などに分かれました。
「おいで〜こっちこっち」
と手をつないでもらって班の所に向かう子どもたちはすっかり緊張も解け、ニコニコしながら、
「行ってきま〜す」
どのグループも楽しそうに利用者の方と作業をしていました。
終わってから話を聴くと、
「めっちゃ楽しかった!」
「また行きたい!」
「Aさんは、同じことばかり聞いてくるけど、なんかめっちゃ優しいねん」
「Bさんの言葉は全然分からへんかったけど、なんか面白いねん」
「Cさんから小さな折り鶴もらってん、めっちゃ上手いで〜」
と口々に楽しかった感想を伝えてくれました。
ちゃんと名前を覚えています。
障害者との出会いというよりも、Aさん、Bさん、Cさんという「その人」との出会いをしていました。
スタッフの方々や施設長からは、
「こんな形で交流が出来るとは思ってもいませんでした。とても素敵な交流が出来ました。これからもよろしくお願いします」
という嬉しい言葉をいただきました。
それから、しばらくして授業でこんな話を伝えました。
「プールに施設の利用者の人たちが入ってきた時に、それまで遊んでいた人たちが、サァーとプールから逃げるように上がった事があったんだって。みんなはどう思う?」
という問いかけに子どもたちは、
「えっ〜そんなんおかしい!」
「間違ってる!」
と怒りの声をあげました。
でも私は、
「君たちは、最初に施設に行った時は正直どう思ったの?」
と返しました。
子どもたちはしばらく沈黙し、考えてから、ポツリポツリと話をしてくれました。
「初めは、ちょっとこわいなあって思った」
「僕も何か分からんけど、こわいと思った」
私から、また返しました。
「初めはそう思ってたんだよね。それならプールで避けた人と同じだよね。それなのにどうしてプールの人たちのことを間違ってると思うの?」
子どもたちから
「だって、知ってるもん」
と返ってきました。
「どういうこと?」
「だって、いっしょに遊んだもん」
「Aさんのこと、分かったもん」
「いっぱいお話したから」
「友達になったんやもん」
という言葉がたくさん返ってきました。
「そうなんだね。じゃあ、なぜ初めはこわいと思ったの?」
「だって、知らんかってんもん」
という言葉からみんなで考えました。
「大事なんは、知ることや!」
「知らんのに、決めつけたらあかん」
という言葉がたくさん出てきました。
子どもたちは、たくさんの大切な事を出会いから学んでいました。
クラスでずっといっしょに学んでいるAくんの事も、子どもたちはこの時に考えを出し合いました。
「もし、Aくんがおとなになってそんな事されたらオレはだまってへん」
「私もぜったい許さへん!」
と言っていた子どもたちでした。
そんなAくんや子どもたちの事は機会をあらためてお伝えしたいと思っています。